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慣性センサ式の列車動揺測定装置 MLG-1 を新開発

列車動揺測定装置 MLG-1
列車動揺測定装置 MLG-1
 東京計器レールテクノ株式会社(本社:東京都大田区 社長:神谷隆志)は、慣性センサを搭載した列車動揺測定装置MLG-1を開発し、2009年11月より受注活動を開始いたしました。列車動揺測定装置MLG-1は、走行中の列車(車体)に発生する6軸の運動特性(上下、左右、前後の直線運動とロール、ピッチ、ヨーの回転運動)を計測して記録するポータブルタイプの測定器です。心臓部となるセンサには、東京計器株式会社が最先端のMEMS技術を駆使して新開発したマルチ出力慣性センサ「MESAG」が採用されており、これによって高精度でありながら軽量・コンパクトな本体サイズを実現しています。

 鉄道のレール(軌道構造)は列車の通過に伴う衝撃や振動を受け続けるため次第に損傷していきます。特に、左右レールの幅(軌間)や左右レールの高さの差(水準)、レール上下方向のうねり(高低)、レールの曲がり(通り)などの軌道変位やレールの摩耗が適正値を超えると振動や騒音発生の原因となります。電車の乗り心地が悪化するだけでなく安全性も損なうため、定期的な保線作業が必要となります。こうした理由により、日々運行している営業車両の一部に動揺測定装置を搭載し、実際の運行条件下において定期的に列車の動揺データを取得することで管理がなされています。

 従来の動揺測定器には2種類のタイプがありますが、車両に加速度計を常設しているタイプでは検査時期が列車運用計画で制限されるため所定の期間内に検査を実施することが困難な場合があり、動揺測定器をその都度車内に持ち込むタイプでは測定機材と人員が大掛かりになるため客車を一部閉鎖するなどの必要が生じます。いずれの場合でも営業運行に支障をきたすこととなり、解決策が強く求められていました。また、従来の動揺測定器では列車の上下、左右方向の振動しか測れないため、多角的なデータ解析ができにくいという欠点もあります。

 新開発の列車動揺測定装置MLG-1は、こうした従来のデメリットを一掃したユニークな新商品です。その秘密は内蔵されたマルチ出力慣性センサ「MESAG」にあります。これは直径1.5ミリのリングを静電力で浮上・高速回転させることで3方向の加速度と2方向の角速度を同時に計測できるもので、角速度の検出は船舶や航空機向けジャイロと同じ原理の回転式ジャイロセンサです。浮上して回転するため機械支持部がなく長寿命、また、加速度の検出も高精度なサーボ型で、3方向の加速度を同時に計測できるという特徴を備えています。MESAGが「マルチ出力慣性センサ」と呼ばれるのはこうした理由からです。MESAGを搭載した列車動揺測定装置と同じ機能を一般的な振動ジャイロと加速度計とで再現する場合、それぞれのセンサを3個ずつ組み合わせる必要が生じるため機構が複雑でサイズが大きくなり、当然のことながら価格も上昇します。

 また、列車動揺測定装置MLG-1は、軌道の異常個所を特定するために必要なキロ程情報を、前後加速度を積分して求めるため、距離データを外部から得る必要がありません。つまり、動揺測定に必要となる機能すべてがコンパクトに集約されており、本装置1つを乗務員室に持ち込むだけで簡単に測定が開始できます。

 その他、列車動揺測定装置MLG-1を利用すれば、各々の列車が持つ固有の振動成分や振動振幅データが高精度に取得できるだけでなく、従来の動揺計測装置では不可能だった走行中の車両の姿勢変化や軌道状態の確認、橋梁などの構造物を通過する際に発生する揺れを物理的なデータとして入手できるようになります。このデータは保線情報としてだけでなく、軌道構造の見直しや乗り心地の良い車両の開発、橋梁など構築物の基本設計などに活かすことも可能です。

 列車動揺測定装置MLG-1はこのように優れた特徴を持っており、保線データのみならず、さまざまな活用が期待できます。東京計器レールテクノ株式会社では、永年に亘る保線事業で培ってきた高い信頼と実績を背景として、国内の鉄道各社に拡販していく方針です。


【外形寸法・質量】

W184×D184×H159(mm) 約4kg


※ MESAG は、東京計器株式会社の登録商標です。
◇本商品に関するお問い合わせ先◇
〒144-8551 東京都大田区南蒲田2-16-46
東京計器レールテクノ株式会社 営業部
電話:03-3732-7061 FAX.03-3732-7050
http://www.tokyo-keiki.co.jp/rail/
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※商品の仕様およびデザインは予告無く変更する場合があります。
(2009.12.4)